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スペイ ンのゴミ捨て場
小冊子
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風景の起点としてのゴミ捨て場に焦点を当てた写真集。
スペインを旅している中で、現地のゴミ箱がやけに目に留まった。小型のバケツのようなタイプから、分別ごとに色分けされた大型のものまで、公共空間に点在する大小様々なゴミ箱を正面から撮影した。小型のゴミ箱はおよそ50〜100mごとに設置されており、ポイ捨てしたくなる前にゴミ箱に出会うことができる。そのため、観光客で賑わう街の中心部でも、驚くほどゴミが落ちていない。一方、色分けされた大型のゴミ箱は、清掃員がゴミ収集車と共に定期的に巡回し、中身がリセットされる。その頻度は非常に高く、近くを通っても匂いが気になることはほとんどない。
この写真集は、旅の中で見過ごされがちな「背景」に焦点を当てている。ゴミ箱は、日々の生活においてはただの機能的な道具としてしか認識されないことが多いが、それがどのように人々の暮らしを支え、街の風景の一部として溶け込んでいるかに気づくことで、新たな視点が生まれる。スペインの街角で目にした無数のゴミ箱が、実は町の秩序や清潔さを保つために欠かせない存在であることを示している。私たちが意識せずに通り過ぎるその瞬間にこそ、場所の特性や文化が息づいているのだと感じる。ゴミ箱を通じて、スペインの街々に息づく意識や、見落としがちな景観に対する尊重が、少しでも伝われば嬉しい。
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Pages: 48
Dimensions: 148.5×210 mm
Format: Softcover
Language: English
Year: 2025
Publisher: Patheme Press
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