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006_HOUSE WITH TRAVEL
COMPETITION, 2021
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旅する家
設計競技
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人間の家について考えてみる。 そのためにはまず人間について考える必要がある。 ここでは純粋に人間がいかにして建物を建設してきたかに着目することにした。地球というひと続きの大地を国境という線で分割し、それらを州や県で分割する。そして、敷地境界線という最小単位の分割線が与えられ、その中で建物を建設してきたように、建築というものは、実はルールの中でつくられてきたのではないだろうか。 クロード・バランが「斜めに伸びる建築」において、
”自然の中に既に存在する空間(洞窟、地下空間等々)を占有する以上に、囲いを設けることは、たとえ屋根がないという事実によって住居のカテゴリーに分類できないとしても、建設行為という分野において大地に対する最初の意志的な宣言となる。”
と唱えた。彼が唱えた方法において、限りある大地を横移動する現代の暮らしはいずれ限界が来てしまうだろう。そこで、敷地境界線内で、ひたすら垂直方向に伸びる建築を考えた。平面上では、同じ形状が何層にも連続するだけの単調な体験ではあるが、断面方向にはさまざまな体験が連続する。例えば、標高が変化するにつれ生息する動植物が変わるように、地球にはありとあらゆる環境が存在する。縦方向にひたすら伸び続けるこの家はそんな環境たちをパックしたようなひと続きの大空間である。 地球上に存在する厳しい環境下で暮らす人々がいるように、人間は知識と思考というツールを用いることで環境に対してリアクションしながら生きることが可能だ。 そんな旅するかのような体験をひとつの家として提案する。私はこれを旅する家と呼ぶこととする。
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